袍は朝廷に出仕する際に着用する
衣装の事をいいます。天皇の衣を黄櫨染とした背景には、唐の文化の受容があったと考えられている(弘仁・貞観文化)。
中国では隋以降、戎服(日本の朝服に相当する常服)では黄色が尊い色とされ、唐の時代になって、赭黄袍が皇帝専用のものとなった(『新唐書』ほか)。
また、黄櫨染は、赭黄同様、真昼の太陽の色を象徴したものという説もある。
黄櫨染の御袍が天皇の服となったことにより、黄櫨染は天皇以外には着用できない禁色となったと考えられている。
なお、上述の詔に先立つ弘仁6年(815年)には、勅により女性の褐および黄櫨染の着用を禁止している(『日本後紀』)。
その後、現代まで継続して天皇の服として用いられているが、朝廷の儀式の変容等に伴い、時代によって着用場面の多寡はさまざまであった。
特に、江戸時代初期には黄櫨染御袍が断絶していたとする説もあるが、国立歴史民俗博物館所蔵『慶長十六年御譲位御服調進帳』によれば、後水尾天皇即位に際して「きりたけ」の袍が調進されている。
広隆寺所蔵の後水尾天皇の袍は、牡丹唐草に尾長鳥の文様の麹塵の袍であるから、このとき調進された「きりたけ」の袍は黄櫨染の袍とみられる。
東山御文庫所蔵『黄櫨染御袍等御裂帖』によれば、後西天皇の黄櫨染御袍使用が知られるから、結局黄櫨染御袍の使用の裏付けがないのは後光明天皇だけのようである。
明治天皇即位の時に袞衣が廃止されて以降は、「即位礼紫宸殿の儀」を含む即位式にも使用され、宮中三殿で行われる恒例の皇室祭祀のほとんどに使用されることとなった(神嘉殿でおこなう新嘗祭のみは、天皇は御祭服を使用)。
現代においてもこの規定が引き継がれ、即位の礼の中での最重要の儀式「即位礼正殿の儀」や立太子礼、宮中祭祀の四方拝その他で着用されている。
黄櫨染御袍に身を包み退位儀式始まる
本日の夕刻から退位礼正殿の儀を行 う事を天照大神(あまてらすおおみ かみ)に報告する退位礼当日賢所( かしこどころ)大前(おおまえ)の
儀を10時から臨まれました。
午前10時過ぎ、陛下は天皇専用の古式装束「黄櫨染御袍(こうろぜんのごほう)」に身を包み、宮中祭祀(さいし)をつかさどる掌典長の先導で、天照大神を祭る賢所の回廊を進んだ。
厳粛な表情で笏(しゃく)を持って進み、中に入る際に深々と一礼。
装束の裾を持った侍従らが続いた。
宮内庁によると、陛下は拝礼し、「御告文(おつげぶみ)」を読み上げた。皇太子さまも専用の装束「黄丹袍(おうにのほう)」を着て参列した。
頸椎(けいつい)症性神経根症の持病がある皇后さまは、住まいの御所で過ごした。
皇太子妃雅子さまは退位礼正殿の儀に備え、住まいの東宮御所(東京都港区)で過ごした。
宮中三殿は、中央に賢所があり、国内のさまざまな神を祭る神殿と、歴代天皇などの霊を祭る皇霊殿が左右にある。
3月12日に始まった退位に関する儀式は、神武天皇陵(奈良県橿原市)や伊勢神宮(三重県伊勢市)の参拝などが行われてきた。
締めくくりの儀式となる退位礼正殿の儀は午後5時から宮殿「松の間」であり、陛下が天皇として最後のおことばを述べる。皇族方のほか三権の長や閣僚ら約300人が出席する。
陛下は儀式後、元皇族や宮内庁幹部らのあいさつを受け、最後は御所で侍従長ら側近のあいさつがある。
一連の行事が終わるのは午後7時を過ぎる見込み。5月1日の新天皇即位に関連する行事には出席しない。
即位の日の流れ
economic.jp 引用
5月1日の0時に元号が令和に変わ
ります。
午前10時半(10分間)剣璽等 承継の儀(けんじとうしょうけいの
ぎ)がおこなわれます。
午前11時10分(10分間)即位 後朝見の儀(そくいごちょうけんの
ぎ)が行われます。
10月22日に即位礼正殿の儀(そ くいれいせいでんのぎ)が行われ
パレードもされる予定です。
30年前の平成のパレードでは、約4000万円のロールスロイス「コーニッシュIII」のオープンカーで、皇居から赤坂御用地内の東宮御所までの4.7kmを30分ほどかけて走行。今回は、自動ブレーキ機能など安全性能が高いことや、排気ガスなど環境性能が高いことなどの要件を満たすトヨタの「センチュリー」が採用。 前回、平成の御代がわりの際は、皇居を出た車列は内堀通りを走行。桜田門、国会議事堂正門前、三宅坂を通り、青山通りを経て赤坂御用地の東宮御所に向かった。約12万人の人々が、祝賀パレードの見学、お祝いのため沿道を訪れた。今回のパレードのルートも前回を踏襲するという。
当時、全国各地で即位反対のデモやゲリラ事件が多発。直前には爆弾テロも発生していたことから、警察官数万人で警備にあたった。
https://www.news-postseven.com 引用
元号が「平成」から「令和」に変わる5月1日、鉄道各社の天皇即位記念乗車券、入場券が発売される。 即位記念乗車券は、今の天皇の即位の時も各社から発売された定番商品。前回は改元から二年近くたった一九九〇(平成二)年十一月の「即位の礼」前後に発売されたが、生前退位の今回は改元と同時に全社一斉発売となった。 皇居の最寄り駅で発売するのは東京メトロと都営地下鉄。東京メトロは千代田線二重橋前駅で同駅からの片道乗車券六枚を専用封筒に入れて販売。都営地下鉄は三田線日比谷駅と大手町駅で二重橋が印刷された一日乗車券を発売する。
沿線の皇室ゆかりの施設をデザインに取り入れたのは京王電鉄と京急電鉄。京王の乗車券には明治天皇と関係が深い旧多摩聖蹟記念館など、京急には葉山御用邸周辺の風景が印刷されている。 縁起が良い絵柄を採用する会社も。京成電鉄の一日乗車券の台紙は鳳凰(ほうおう)と菊。西武鉄道は「動物シリーズ」で、四枚の乗車券に、それぞれ鶴、亀、鳳凰、麒麟(きりん)が描かれている。小田急電鉄の乗車券は鳳凰、菊、桐(きり)の三枚セット。
東武鉄道は浅草、池袋など主要四駅からの片道乗車券を電車の写真が印刷された台紙に入れて発売。東急電鉄は「令和元年五月一日」の日付が入った五駅の入場券を発売。そのうちの一つ、長津田駅(横浜市)は今の天皇の成婚を記念して開園した「こどもの国」に行く「こどもの国線」の始発駅となっている。いずれも枚数限定で、販売開始時間は各社で異なる。写真はイメージ。
–その他