— 山本 節 (@YamatakaM) September 9, 2019
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— いそちい (@kotorixx) September 9, 2019
山倉ダム、ソーラー発電所とは
千葉県では 2011 年 3 月の東日本大震災によって県内が電力不足に見舞われたことから、エネルギー の分散確保や地域経済の活性化を目的として、自然エネルギーの推進プロジェクトチームを同年 7 月に
立ち上げた。このプロジェクトの中で最大の案件が、山倉ダムの水面を利用した太陽光発電事業である。
山倉ダムを管理する千葉県の水道局(2019 年 4 月 1 日から企業局に改称)は、水面を利用した太陽光 発電の技術が進展してきたことに着目した。「埼玉県などで水上メガソーラーの事例が出始めていたこと
もあり、水面の面積が大きい山倉ダムを対象に計画づくりを進めた」( 水道局工業用水部の小菅満氏)。
事業者に選ばれた京セラ TCL ソーラーは、太陽光パネルのメーカーである京セラと金融・サービスの 東京センチュリーが 2012 年に共同で設立した太陽光発電の専門会社である。陸上と水上のメガソーラー を全国各地に展開している。2019 年 1 月の時点で山倉ダムを含む 11 カ所の水上メガソーラーを運転中
だ。山倉ダムを除く 10 カ所は農業用ため池を利用している。
山倉ダムの水上メガソーラーは固定価格買取制度の 20 年間の買取期間が終了した後も運転を続ける 方針だ。「 採用した京セラ製の太陽光パネルは、30 年後でも効率は落ちないと考えている。パワーコンデ ィショナーを交換すれば、発電事業を継続できる。自然エネルギーの電力を地域内に供給する地産地消型
の発電事業を目指したい」(東京センチュリーの上杉氏)。
買取期間の終了後も引き続き京セラ TCL ソーラーが運営する方法と、地域の事業者に発電設備を譲渡 する方法の 2 つの案が考えられる。千葉県内で 4500 世帯分の電力を長期にわたって、自然エネルギーで
安価に供給できればメリットは大きい。
山倉ダムでは太陽光パネルの設置範囲を水面全体の 30%に制限しているため、現状から増設すること はできない。千葉県内には山倉ダムのほかに、工業用水用のダムが 2 カ所ある。南部の臨海工業地帯に
水を供給する「豊英(とよふさ)ダム」と「郡(こおり)ダム」である。
千葉県の水道局は、この 2 つのダムでも水上メガソーラーの可能性を検討した。しかし実行すること は困難だった。豊英ダムは川に造ったダムで、水流があり、水位も大幅に変動する。水上メガソーラーで はフロートをアンカーで固定する必要があるため、水位が変動するとフロートとアンカーをつなぐワイ
ヤーがゆるみ、水上に組んだフロートが崩れてしまう可能性がある。
もう 1 つの郡ダムには、水流や水位の変動はほとんど生じない。川の水をせき止める方式ではなく、 近くを流れる川に設けた取水場から導水管でダムまで水を引き込んでいるからだ。貯水池に近い状態で、 ダム湖の水は安定している。山倉ダムも同様の取水方式を採用しているため、水上メガソーラーの設置が
可能だった。
郡ダムの水面の面積は 36 ヘクタールで、山倉ダムの 6 割の広さである。水面の 30%を利用できれば、 単純計算で 8.2MW の水上メガソーラーを建設できる。ところが水道局が郡ダムの太陽光発電を検討した 時には、すでに送電線に空き容量がなく、新設する発電設備を接続できない状態になっていた。2 カ所目
の水上メガソーラーを建設する構想は断念せざるを得ないのが現状だ。
東京電力パワーグリッドが公表している情報(2019 年 2 月 13 日時点)では、千葉県内で 2MW 以上 の発電設備を新規に接続できる送電線は、北部の 1 系統を除いて空き容量がない、とされている。政府 が 2018 年度から推進する系統運用の新ルール「日本版コネクト&マネージ」を早急に実施して、平常時
には空き容量がある送電線の有効活用を急ぐべきである。
–気象情報